株式会社・有限会社の定款変更をお考えの方へ
新しい事業を始めるとき、会社の運営体制を見直すとき、事業承継に備えるときなど、会社の定款を変更する機会があります。
定款変更の手続きは、株式会社と有限会社(特例有限会社)で決議要件が異なるほか、変更内容によって登記の要否や必要書類も変わります。
このページでは、定款変更が必要になる主な場合、株主総会の決議要件、変更登記との関係を説明します。愛知県豊川市の司法書士・行政書士いけだ事務所では、定款変更とそれに伴う会社登記のご相談をお受けしています。
定款変更が必要になる場合
例えば、次のような事項を見直す際には、定款変更が必要となることがあります。
- 商号(会社名)の変更
- 事業目的の追加・変更・削除
- 株券を発行する旨の定めの廃止
- 取締役会・監査役の廃止(設置している株式会社の場合)
- 取締役・監査役の任期に関する定めの変更(主に株式会社の場合)
- 事業年度の変更
- 相続人等に対する売渡請求に関する定めの設定
- 代表取締役の選定方法に関する定めの変更
例えば、新規事業を始める場合には、現在の事業目的の記載を確認し、必要に応じて目的を追加・変更します。また、第二創業や事業承継の準備として、会社の機関設計や株式に関する定めを見直す場合もあります。
なお、特例有限会社には取締役会を設置できないなど、株式会社とは制度上の違いがあります。変更できる事項や必要な手続きは、それぞれの会社の状況に応じて確認する必要があります。
本店を移転する場合
本店所在地を定款でどこまで定めているかにより、本店移転に伴う定款変更の要否が異なります。
| 定款の本店所在地の定め | 同じ市区町村内へ移転 | 別の市区町村へ移転 |
|---|---|---|
| 市区町村まで記載 | 原則、定款変更は不要 | 定款変更が必要 |
| 番地など具体的な所在地まで記載 | 定款記載の範囲を変更するなら必要 | 定款変更が必要 |
定款変更が不要でも、本店の移転により登記されている本店所在地が変わる場合は、本店移転登記が必要です。
また、移転先や機関設計などにより必要な決定手続きは変わります。
株式会社・有限会社の定款変更の決議要件
株式会社や有限会社の定款変更には、原則として株主総会の決議が必要です。ただし、株式会社と特例有限会社では決議に必要な要件が異なります。
株式会社の場合(株主総会の特別決議)
株式会社の定款変更は、原則として会社法309条2項の特別決議によります。
- 議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席すること
- 出席した株主の議決権の3分の2以上が賛成すること
出席に必要な議決権の割合は、定款で3分の1以上まで引き下げることができます。また、賛成割合について定款でより高い割合を定めている場合があります。
株式の譲渡制限に関する定めの新設や属人的定めの設定など、変更内容によっては通常の特別決議とは異なる要件や、別途必要な手続きがあります。
有限会社(特例有限会社)の場合
現在も「有限会社」の商号で存続している会社は、会社法上、特例有限会社として取り扱われます。特例有限会社の定款変更は、会社法整備法14条3項の特則による決議が原則です。
- 総株主の半数以上の賛成
- その賛成する株主の議決権が、総株主の議決権の4分の3以上に当たること
定款に、株主数や議決権の割合についてこれを上回る要件が定められている場合は、その定めも確認します。株式会社と異なり、単に「出席株主の議決権の3分の2以上」で足りるわけではありません。
| 会社の種類 | 原則となる決議要件 |
|---|---|
| 株式会社 | 議決権の過半数が出席し、出席議決権の3分の2以上が賛成 (定款による修正等あり) |
| 特例有限会社 | 総株主の半数以上で、総株主の議決権の4分の3以上に当たる賛成 (定款による加重等あり) |
株主総会の決議を省略する方法(みなし決議)
実際に株主総会を開催する代わりに、会社法319条に基づき、取締役又は株主からの提案について、その議案の議決権を行使できる株主全員が書面又は電磁的記録で同意した場合には、株主総会の決議があったものとみなされます。
株主が1人の会社や少人数の会社では利用しやすい場合がありますが、同意書等を適切に作成・保存する必要があります。
株主総会の決議以外にも手続きが必要な場合
例えば、株券を発行する旨の定めを廃止する際には、会社法218条に基づく公告・株主等への通知が必要になる場合があります。株券の発行状況により取扱いが異なりますので、決議のみで完了すると考えず、効力発生日を含めて準備することが大切です。
有限会社の定款変更手続きの流れ
検索でもお問い合わせの多い、有限会社(特例有限会社)の定款変更について、一般的な流れを整理します。
現在有効な定款、登記事項証明書、株主構成、変更を希望する内容を確認します。
変更する条項、効力発生日、株主総会の決議要件、必要に応じた通知等を確認します。
適切な方法で決議を行い、議事録又はみなし決議に必要な書類などを作成します。
商号・目的など登記事項に変更がある場合は、期限内に法務局へ変更登記を申請します。
変更の経過が分かるよう議事録等を保存し、必要に応じて変更を反映した現行定款を整理します。
なお、定款変更をしたからといって、特例有限会社から通常の株式会社へ自動的に移行するわけではありません。商号を「株式会社」に変更して通常の株式会社へ移行する場合は、別の手続きが必要になります。
定款変更に伴う登記手続き
定款変更と変更登記は別の手続きです。定款を変更しても、登記事項に変更が生じなければ、通常、その変更自体について登記申請は必要ありません。
変更登記が必要な場合・不要な場合
| 変更内容 | 定款変更 | 変更登記 |
|---|---|---|
| 商号の変更 | 必要 | 必要 |
| 事業目的の変更 | 必要 | 必要 |
| 事業年度の変更 | 必要 | 規定の変更自体は登記不要 |
| 取締役の任期規定の変更(株式会社) | 必要 | 規定の変更自体は登記不要 |
| 株券発行の定めの廃止 | 必要 | 必要 |
| 取締役会の廃止(株式会社) | 必要 | 必要 |
※事業年度や役員の任期に関する定款変更自体は登記事項ではありませんが、それに伴い役員の退任・重任などが生じた場合には、別途変更登記が必要となることがあります。上記は一般的な例であり、本店所在地など別の登記事項も変更される場合は、その登記が必要です。
変更登記の申請期限
登記事項に変更が生じたときは、原則として変更が生じた日から2週間以内に変更登記の申請が必要です(会社法915条1項)。株主総会の決議日と変更の効力発生日が異なる場合などは、起算点を確認する必要があります。
実際の申請に必要な書類や登録免許税は、変更内容によって異なります。
定款変更手続きで確認しておきたいこと
定款変更を進める際は、変更したい条項だけでなく、現在の定款、登記の状況、会社の機関設計、株主構成などを確認することが大切です。
例えば、事業承継に向けた株式の集約を検討する場合には、株券発行の定めや譲渡制限、相続人等に対する売渡請求の規定などが関係することがあります。ただし、定款を変更すること自体で株式が集約されるわけではありません。
相談時に準備いただくと便利なもの
資料がそろっていなくてもご相談いただけますが、次の資料があると、具体的な手続きや費用を確認しやすくなります。
- 会社の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 現在の定款、過去の定款変更に関する株主総会議事録
- 株主名簿など株主構成が分かるもの
- 変更したい内容が分かるメモ等
定款変更についてよくあるご質問
定款変更・会社登記のご相談
司法書士・行政書士いけだ事務所では、愛知県豊川市を拠点に、豊橋市など東三河を中心として、西三河、静岡県湖西市・浜松市などの会社からのご相談にも対応しています。
定款変更の内容確認、株主総会議事録等の書類作成、変更登記の要否の確認、必要となる登記申請まで、ご依頼内容に応じてお手伝いします。
「定款を変更したいが、登記が必要かどうか分からない」という段階でも構いません。現在の状況を確認し、必要な手続きをご案内します。
会社登記全般の取扱業務については、当事務所の会社登記のご案内サイトでもご案内しています。
