愛知県豊川市の司法書士・行政書士いけだ事務所です。
今年(令和2年)の4月から、民法(債権関係)の改正法が施行されます。
今回の改正では、取引社会を支える契約に関する規定を中心に、社会・経済の変化への対応を図るために様々な規定の見直しが行われました。
今回は、そんな民法(債権関係)改正についての2回目、「保証に関する規定の見直し」についてです。
保証に関する規定の見直し
保証に関する規定に関する改正では、「保証人の保護の拡充」がなされます。
具体的には、次のような改正がなされます。
☑ 第三者保証の制限
☑ 情報提供義務の新設
☑ 根保証における個人保証人の保護の拡充
第三者保証の制限
事業用の融資の保証契約においては、あらかじめ公正証書で保証人になる意思を表示しておく必要があります。(改正民法465条の6)
ただし、次の者など、一部の者は除かれています。(改正民法465条の9)
☑ 主債務者が法人である場合の理事、取締役、執行役など
☑ 主債務者が法人である場合の総株主の議決権の過半数を有する者
☑ 主たる債務者と共同して事業を行う者
☑ 主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者
情報提供義務の新設
契約締結時
主たる債務者は、事業のための保証を個人に委託する場合、次の情報を提供しなければなりません。(改正民法465条の10)
☑ 財産及び収支の状況
☑ 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
☑ 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容
主たる債務者の期限の利益喪失時
主たる債務者が期限の利益を喪失した場合は、債権者は、個人の保証人に対し、2か月以内にその旨を通知しなければなりません。(改正民法458条の3)
主たる債務の履行状況
主たる債務者から委託を受けた保証人は、主たる債務の元本、利息、違約金などに関する次の情報の提供を請求することができます。(改正民法458条の2)
☑ 不履行の有無
☑ 残額
☑ 残額のうち、弁済期が到来しているものの額
根保証における保証人の保護の拡充
根保証に関する一部の規定では、包括根保証の禁止の対象が「貸金等根保証契約」から「個人根保証契約」全般に拡大されました。
例えば、個人根保証契約では、極度額の定めが必要になりました。(改正民法465条の2)
なお、個人根保証契約とは、賃貸借や継続的売買などの一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって、保証人が法人でないもののことをいいます。
経過措置
改正民法の施行前に締結された保証契約については、原則、新民法の適用がなく、旧民法の適用となりますので、ご注意ください。(改正民法附則21条)
ただし、施行日前においても改正民法465条の6第1項の公正証書の作成の嘱託は行うことができます。
さいごに
今回の民法(債権関係)の改正についてより詳しい内容が知りたい方は、法務省のホームページをご参照ください。