愛知県豊川市の司法書士・行政書士いけだ事務所です。

今年(令和2年)の4月から、民法(債権関係)の改正法が施行されます。

今回の改正では、取引社会を支える契約に関する規定を中心に、社会・経済の変化への対応を図るために様々な規定の見直しが行われました。

今回は、そんな民法(債権関係)改正についての1回目、「意思表示に関する規定の見直し」についてです。

意思表示とは

意思表示とは、契約の申込みや承諾など、一定の法律効果の発生させたい旨の意思の表示のことを言います。

意思表示で問題になる場合

意思表示に関して問題になる場合として、民法は次の場合を規定しています。

▷ 心理留保(民法93条)

▷ 虚偽表示(民法94条)

▷ 錯誤(民法95条)

▷ 詐欺又は強迫(民法96条)

今回の改正では、特に『錯誤』に関する規定が大きく改正されました。

錯誤に関する見直し

錯誤に関する規定は、主に次の内容の改正が行われます。

要件の明文化

効果を「無効」から「取消し」への変更

要件の明文化

現行法の「要素の錯誤」という規定が、判例を踏まえて「その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの」と改正されました。

効果を「無効」から「取消し」への変更

効果が変更されたことで、特に注意するところは、錯誤を主張できる期間が変わります。

「無効」の場合は、主張できる期間に制限はありません。しかし、「取消し」の場合は、追認をすることができる時から5年、行為の時から20年となります(民法126条)。

経過措置

改正民法の施行前にされた意思表示については、新民法の適用がなく、旧民法の適用となりますので、ご注意ください。(附則6条1項)

参考条文

現行民法第95条(錯誤)
1 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

改正民法第95条(錯誤)
1 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

 

その他の意思表示に関する規定の見直し

他にも改正された規定はありますが、注意しておきたいのは次の規定です。

☑ 詐欺に関する規定
 →表意者保護に関する要件の見直し

☑ 意思表示の効力発生時期等に関する規定
 →到達主義の適用対象の見直し

さいごに

今回の民法(債権関係)の改正についてより詳しい内容が知りたい方は、法務省のホームページをご参照ください。

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について(法務省)